Web制作のヒアリングシート|項目テンプレートと、見積もり・契約につなげる聞き方

Web制作のヒアリングシート

Web制作のヒアリングシートは、打ち合わせ前にクライアントへ送り、目的・ターゲット・ページ構成・素材・予算と納期を埋めてもらう質問表です。項目は9分類・30前後が目安。答えを見積もりと契約書にそのまま写せる聞き方にすると、後の揉めごとが減ります。

この記事でわかること

  • ヒアリングシートを送るタイミングと、打ち合わせまでの流れ
  • そのまま使える9分類の項目一覧と、答えを後で何に使うか
  • 「おしゃれに」「集客したい」などあいまいな答えの聞き直し方
  • バナー・LP・コーポレートサイトで聞く量をどう変えるか
  • 修正回数や素材の期限など、揉めやすい項目の契約書への写し方

先に押さえる要点

  • シートは打ち合わせの前に送り、当日は一緒に埋める。全部を相手に書かせない
  • 項目ごとに「見積もり・契約・設計のどこで使うか」を決めてから聞く
  • あいまいな答えは参考サイトのURLと「なぜそれが良いか」で具体化する
  • 修正回数・素材の期限・支払い条件は、聞いた内容をそのまま契約書へ写す

目次

Web制作のヒアリングシートとは?送るタイミングと使い方

Web制作のヒアリングシートとは、サイトを作る前にクライアントの要望と条件を集めるための質問表です。目的は、見積もりと設計に必要な情報を漏れなく集めることにあります。

使うのは、問い合わせを受けてから見積もりを出すまでの間です。先にシートを送っておくと、打ち合わせを「確認と深掘り」の時間に使えます。

ヒアリングシートを使う流れ

  • 1問い合わせを受ける依頼の概要と希望の時期だけ先に聞く
  • 2シートを送る分かる所だけ記入してもらう。空欄のままで構わないと伝える
  • 3打ち合わせで一緒に埋める空欄とあいまいな答えを、その場で具体化する
  • 4議事録を共有する決まったこと・未定のことを文章で残し、相手に確認してもらう
  • 5見積もりと契約へシートの答えを見積もりの行と契約書の条項に写す

シートは送って終わりにしない。打ち合わせと議事録までが1セット。

図:ヒアリングシートは見積もりと契約の材料を集めるための道具。

ヒアリングの答えがそろえば、見積もりの根拠も説明しやすくなるはずです。見積もりの組み立て方はWeb制作の見積もりの作り方で解説しています。

ヒアリングシートの項目一覧(9分類のテンプレート)

ここからは、そのまま使える項目を9分類で見ていきましょう。どの表にも、答えを後で何に使うかを並べました。使い道が決まっていない質問は、削ってしまって問題ありません。

1〜3:基本情報・目的・ターゲット

分類聞くこと答えの使い道
基本情報会社名・担当者・決裁する人・連絡手段契約書の当事者、確認を誰に取るか
基本情報事業の内容・強み・主な取引先トップページの訴求、原稿の方向
目的サイトを作る理由・今困っていること設計の優先順位
目的公開後に増やしたいもの(問い合わせ・採用応募・来店など)導線とフォームの設計
ターゲット主なお客さん(年代・地域・職業)デザインのトーン、文字の大きさ
ターゲットお客さんがサイトで知りたいことページ構成、よくある質問の中身

「決裁する人」は見落としやすい項目です。打ち合わせの担当者と最終的に決める人が違うと、デザインの確認が後から覆ることがあります。

4〜6:参考サイト・ページ構成・デザイン

分類聞くこと答えの使い道
参考サイト競合のサイト・好きなサイトのURLデザインの方向、差別化の材料
ページ構成必要なページと、それぞれの中身見積もりのページ数、サイトマップ
機能フォーム・ブログ・予約・多言語など見積もりの機能ごとの行
機能自分で更新したいページ(お知らせ等)CMS(WordPressなど)を入れるか
デザイン使いたい色・ロゴの有無・避けたい印象デザインカンプの前提
デザインスマホで見る人の割合の見込みどちらの画面から作るか

7〜9:素材・ドメインとサーバー・運用・予算と納期

分類聞くこと答えの使い道
素材・原稿写真・原稿を誰が用意するか、いつまでに出せるか撮影・ライティングの見積もり、素材の期限
ドメイン・サーバー既存のドメイン・サーバーの有無と契約者移行作業の見積もり、名義の整理
運用・更新公開後の更新・保守を誰がするか保守契約の有無
予算予算の上限・支払い時期・分割の希望提案の範囲、支払い条件
納期公開したい日と、その理由スケジュール、急ぎ対応の料金
その他社内で確認に必要な日数確認待ちの日数をスケジュールに入れる

予算は聞きにくい項目ですが、最初に幅だけでも聞いておくと提案が空振りしません。「上限はどのくらいでお考えですか」と、答えやすい形で尋ねるのがこつです。

ヒアリングの答えはどこへ流れるか

  • 聞いた答えは、見積もり・契約・設計の3か所で使う
    • 見積もりページ数・機能・素材の用意・移行作業・急ぎ対応
    • 契約書当事者・納期・修正回数・支払い条件・名義
    • 設計・デザイン目的・ターゲット・参考サイト・色・導線

図:使い道の決まった質問だけを残すと、シートは短くなる。

あいまいな答えを具体的にする聞き直し方

シートの答えで一番困るのは、「おしゃれな感じで」「シンプルに」のような言葉です。そのまま受け取ると、デザインの出し直しにつながります。

聞き直しの基本は、言葉を「見て分かるもの」に置き換えてもらうことです。

よくあるあいまいな答えと聞き直しの例

クライアントの答え聞き直し方決まること
おしゃれな感じで「おしゃれだと感じるサイトを2〜3個教えてください。どこが気に入りましたか」色・余白・写真の雰囲気
シンプルにしたい「減らしたいのは情報の量ですか、色や装飾ですか」ページ数か、デザインの方向か
集客したい「月に何件の問い合わせが来たら成功ですか」導線・フォーム・公開後の運用
急ぎでお願いしたい「その日に公開したい理由は何ですか」動かせない締め切りかどうか
お任せします「これだけは避けたい、という印象はありますか」出してはいけない方向

参考サイトを聞くときは、URLだけで終わらせないのがポイントです。「どこが良いか」まで聞くと、色が好きなのか、写真の大きさが好きなのかが分かります。

案件の大きさで聞く量を変える

小さな案件に30項目のシートを送ると、相手の負担が大きくなり返信が遅れます。聞く量は、案件の大きさに合わせて絞ります。

案件の大きさ別に聞く量を決める

バナー・小さな制作物
項目数
5〜8項目
外せない項目
サイズ・掲載先・文言・使う写真・納期・修正回数
LP(1ページ)
項目数
15項目前後
外せない項目
商品・ターゲット・申し込みの形・原稿の用意・広告の出し先
コーポレートサイト
項目数
25〜30項目
外せない項目
9分類すべて。特に決裁者・ページ構成・ドメイン名義・保守

図:小さな案件ほど項目を絞り、返信を早くもらう。

バナーのような小さな制作物なら、チャットで5〜8問を聞くだけで足ります。LPやコーポレートサイトは、ページ数と機能で金額が大きく変わります。構成まで聞いてから見積もりを出してください。

案件ごとの金額の目安はLP制作の単価相場とコーポレートサイト制作費用の相場にまとめています。

揉めやすい項目は契約書にそのまま写す

ヒアリングで聞いた条件は、口約束で終わらせず、契約書か発注書に書き写します。後から「言った・言わない」になりやすいのは、次の項目です。

  • 修正の回数と範囲:「デザインの修正は2回まで。3回目以降は1回ごとに費用がかかる」まで書く
  • 素材の提出期限:写真・原稿が遅れたときに、公開日をずらすことを書いておく
  • ページや機能の追加:追加が出たら別途見積もりにすることを決めておく
  • ドメイン・サーバーの名義:誰の名義で契約し、誰が費用を払うかを書く
  • 支払いの時期:着手金の有無、納品から何日以内に払うかを書く

2024年11月1日には、フリーランス・事業者間取引適正化等法(フリーランス法)が施行されました。業務を頼む事業者には、仕事の内容・報酬の額・支払期日などの取引条件を示す義務があります。

取引条件として示す主な事項と、ヒアリングで確かめること

取引条件の主な事項ヒアリングで確かめること
給付の内容ページ構成・機能・修正の範囲
報酬の額予算の上限と、見積もりの内訳
支払期日・支払方法支払いの時期と方法
給付を受け取る日公開したい日と素材の期限
検査を終える日納品後に確認を終えるまでの日数

受注する側からも、ヒアリングの内容をもとに条件を文章で残してもらうよう頼んでかまいません。契約書に入れる項目はフリーランスの契約書の作り方で詳しく解説しています。

出典: 公正取引委員会「フリーランスの取引適正化に向けた公正取引委員会の取組」(参照・2026年9月29日確認)

ヒアリングシートの作り方と送り方

シートの形式は、相手が記入しやすいものを選びます。迷ったらGoogleフォームかスプレッドシートが扱いやすいでしょう。

形式ごとの向き不向き

形式向いている場面気をつける点
Googleフォーム項目が多い案件。回答が一覧で残る途中保存がしにくいので、長すぎる質問は分ける
スプレッドシート打ち合わせで一緒に埋める案件共有の権限を「コメント可」までにする
文書ファイル(Word等)メールでやり取りする相手版が増えやすいので、ファイル名に日付を入れる
チャットで質問バナーなど小さな制作物答えをあとで1か所にまとめておく

送るときは、「分かる所だけで大丈夫です」と一言添えましょう。空欄のまま返ってきた項目こそ、打ち合わせで話すべき論点です。

打ち合わせの後は、決まったことと未定のことを箇条書きの議事録にして送ります。相手が内容を確認した記録が残るので、後で条件がずれたときの拠り所にもなるでしょう。

直接営業で案件を取る場合は、ヒアリングが提案の場も兼ねます。進め方はWeb制作の直営業のやり方もあわせてご覧ください。

Web制作のヒアリングシートでよくある質問

Q1:ヒアリングシートの項目はいくつくらいが適切ですか?

コーポレートサイトなら25〜30項目、LPなら15項目前後、バナーなら5〜8項目が目安です。項目が多すぎると返信が遅れるため、答えの使い道が決まっている質問だけに絞ってください。

Q2:ヒアリングシートはクライアントに全部書いてもらうべきですか?

全部を書いてもらう必要はありません。分かる所だけ記入してもらい、空欄とあいまいな答えは打ち合わせで一緒に埋めるのが現実的です。

Q3:予算を聞いても教えてもらえないときはどうしますか?

松・竹・梅のように、範囲の違う案を2〜3通り示す方法があります。ページ数や機能の違いで金額が変わることを見せると、相手も上限を答えやすくなります。

Q4:ヒアリングシートの無料テンプレートを使っても大丈夫ですか?

使って問題ありません。ただし、自分の案件に合わない項目は消し、答えを見積もりや契約書のどこに使うかを決めてから送ってください。この記事の9分類の表を土台にしても構いません。

Q5:ヒアリングは対面とオンラインのどちらがいいですか?

どちらでも問題ありません。オンラインなら画面共有で参考サイトを一緒に見られる利点があります。形式より気をつけたいのは、打ち合わせ後に議事録を送り、相手に確認してもらうことです。

まとめ:使い道の決まった質問だけを聞く

Web制作のヒアリングシートは、見積もりと契約の材料を集める道具です。

この記事のまとめ

  • シートは打ち合わせ前に送り、当日一緒に埋め、議事録で締める
  • 項目は9分類・30前後。答えの使い道が決まっている質問だけを残す
  • あいまいな答えは参考サイトと「どこが良いか」で具体化する
  • 聞く量はバナー5〜8・LP15前後・コーポレート25〜30項目が目安
  • 修正回数・素材の期限・支払い条件は契約書にそのまま写す

ヒアリングで条件をそろえておくと、見積もりの説明にも自信が持てます。次は、集めた答えをもとに見積もりを組み立ててみてください。


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免責事項

※本記事はWeb制作の受注実務と公正取引委員会の公開情報(2026年9月29日時点)をもとにした整理です。契約内容や法令の解釈に関する個別の判断は、弁護士など専門家にご相談ください。


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この記事を書いた人

Web制作会社でLPやコーポレートサイトのデザインを7年つくり、29歳で独立してから4年、これまで150件を超える案件をこなしてきたShimizuです。「フリーランスは稼げますか」とよく聞かれますが、正直に言えば1年目の月収は20万円台で、かなり苦しい時期でした。

クラウドワークスやランサーズで単価の低い仕事を積む日々から抜け出せたのは、直営業に切り替え、Figmaを覚えてデザインの幅を広げてからです。会社員のうちに副業で準備を始め、独立後に単価を少しずつ上げてきた過程を、当サイトではそのまま書いています。

デジハリのようなスクールの就職率は本当に信じていいのか、クラウドワークスとランサーズはどちらが案件を取りやすいか、LP制作の単価はどこで下げ止まるのか。自分が迷ったことと、後輩から受けた相談を一つずつ整理してお伝えします。

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