コーポレートサイト制作費用の相場|制作会社7年×フリーランス150案件で見た価格と品質の関係

コーポレートサイト(会社案内サイト)の制作費用は「10万円から300万円まで」と幅広く語られます。自分の会社のサイトがどの水準に当たるのか、相場表を眺めただけでは判断しづらいのが正直なところです。

価格の幅を分けているのは、実はページ数の差ではありません。Web制作の現場で見えてくるのは、CMSの有無・原稿や素材を誰が用意するか・保守をどこまで含むかという、設計の差です。同じ「コーポレートサイト100万円」でも、見積もりに何が含まれるかで実質的な価値は大きく変わります。

この記事では、フリーランス・小規模制作会社・中堅制作会社の3水準で制作費用を比較します。同じ会社案内サイトで何が価格を分けているのか、見積もりで確認したい項目、公開後の保守費用の考え方まで、現場視点と公的データを交えて整理しました。発注側にも受注側にも、判断軸として使える内容になっています。

この記事でわかること

  • コーポレートサイトの制作費用は「中堅100〜300万/小規模50〜150万/フリーランス20〜80万」の3水準に分かれる
  • 価格差の正体はページ数ではなくCMSと原稿・素材の負担分界であること
  • 見積もりから抜けて後で費用が膨らむのは「原稿執筆/写真撮影/CMS構築/公開後の保守」の4項目
  • 公開後の保守費用は月5,000〜3万円が目安で、何を含むかを契約前に確認する
  • 失敗しない発注のための6ステップと、受注側が適正見積もりを出すコツ

公的情報源: 中小企業庁「中小企業白書」(参照)/総務省「情報通信白書」(参照

結論を先に書きます

コーポレートサイトの制作費用は、依頼先のタイプとサイト規模で大きく分かれます。中堅制作会社で100〜300万円、小規模制作会社で50〜150万円、フリーランスで20〜80万円が目安です。

ただし、この価格差は「同じ内容で値段だけ違う」のではありません。含まれる工程と、発注側が自分で用意すべきものの量が違うから、金額が開いています。これを理解せずに「安いところに頼もう」と決めると、原稿や素材の準備が発注側に落ちてきて、結局トータルコストが膨らみがちです。

この記事の要点
  • 制作費用は3水準(中堅100〜300万/小規模50〜150万/フリーランス20〜80万)。価格差はページ数よりCMSと素材負担の差
  • 後で費用が膨らむのは原稿・写真・CMS構築・保守の4項目。見積もりに含まれるか1つずつ確認する
  • 公開後の保守費用は月5,000〜3万円が目安。何を含むかを契約前に決める
  • 発注は目的を1つに絞り、必要ページとCMSの要否を先に決めるのが失敗回避の基本

目次

コーポレートサイトの制作費用は実際どのくらい?

結論から言うと、制作費用は依頼先のタイプとサイトの規模で決まります。同じ「会社案内サイト」でも、フリーランス・小規模制作会社・中堅制作会社の順に価格帯が違います

下の表は、10ページ前後の会社案内サイト(会社概要・事業内容・実績・採用・お問い合わせなど)を、デザインとコーディングまで一式で発注する場合の体感です。見積もりを作る側と、案件を受ける側の両方を見てきた範囲での水準になります。

依頼先タイプ費用レンジ(目安)含まれる工程の標準
中堅制作会社100万〜300万円要件定義/競合調査/構成/原稿執筆/撮影/デザイン/CMS構築/公開/公開後保守
小規模制作会社50万〜150万円要件定義/構成/デザイン/コーディング/CMS構築/公開
フリーランス(中堅)20万〜80万円構成/デザイン/コーディング/CMS(原稿・素材は発注側前提)
フリーランス(駆け出し)・クラウドソーシング10万〜30万円デザイン/コーディング(原稿・素材は発注側が用意)

中小企業の情報化投資の実態は、中小企業庁の中小企業白書や、総務省の情報通信白書でも継続的に整理されています。デジタル投資が事業成長に寄与する一方で、目的と費用のバランスを取れずに成果につながらないケースも指摘されています。「いくらかけるか」より「何のために作るか」を先に固める重要性が読み取れます。

ここで大切なのは、表の「費用レンジ」だけを見ないこと。価格の幅は「同じ内容で値段だけ違う」のではなく、含まれている工程と、発注側が自分で用意すべきものの量が違うから開いています。

制作会社とフリーランスで価格が違うのはなぜ?

同じ会社案内サイトでも依頼先によって価格が数倍違うのは、4つの要因で説明できます。価格差の正体は「腕の差」ではなく、ほぼ「ページ数・CMS・素材負担・契約の差」です。

  1. ページ数と階層の深さ
  2. CMS(更新システム)の有無と種類
  3. 原稿・写真素材を誰が用意するか
  4. 進行管理と契約面の整備度

要因1:ページ数と階層の深さ

1つ目はページ数と階層の深さです。会社概要とお問い合わせだけの5ページ構成と、事業部ごとのサービス紹介・実績一覧・採用情報・ブログ機能まで含む20ページ構成では、デザインとコーディングの工数が大きく変わります。

費用を抑えたいなら、まず「本当に必要なページ」を絞るのが効果的。あとから足せるページは、初期段階で作り込まないのが鉄則です。

要因2:CMS(更新システム)の有無と種類

2つ目はCMSの有無と種類です。WordPressなどのCMSを構築し、発注側が自分で更新できるようにすると、テンプレート設計・カスタム投稿の作り込みで工数が乗ります。

逆に「更新は基本しない、静的なHTMLでよい」なら費用は下がります。ただし採用情報やお知らせを自社で更新したい会社は多く、CMSの有無は費用差の大きな分かれ目になります。

要因3:原稿・写真素材を誰が用意するか

3つ目は原稿・写真素材の準備分担です。中堅制作会社は原稿執筆・写真撮影・取材まで巻き取りますが、フリーランスやクラウドソーシングでは「原稿と写真は発注側支給」が前提のことが多いです。

原稿執筆と撮影は見積もりに数行で書かれるだけ。それでいて、実際の工数とクオリティへの影響は非常に大きい部分です。

要因4:進行管理と契約面の整備度

4つ目は進行管理と契約面の整備度です。制作会社にはディレクターがいて、納期・品質・追加対応を巻き取ります。

2024年11月に施行されたフリーランス新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)では、発注事業者にフリーランスへの取引条件の書面明示が義務付けられました。経済産業省・公正取引委員会の特設ページでも書面交付の最低項目が公開されています。契約条件をあいまいにしないことは、法的にも明確に整理されつつある状況です。

外注先をフリーランスにするか制作会社にするかの判断や案件ルートの違いは、クラウドワークスとランサーズの比較でも整理しています。ルートに迷う方はあわせて確認してみてください。

費用が後から膨らむ「見積もり外」の項目は?

ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。トラブルや追加費用は、最終デザインではなく、その手前の「準備工程」に集中して現れます

具体的に、見積もりから抜けがちで後で費用が膨らむ項目を整理します。

項目抜けたときに起きること費用への影響
原稿執筆発注側が原稿を書けず制作が止まる/後から大幅差し替え大(別途10〜30万円)
写真撮影素材が用意できずフリー素材で代用しクオリティ低下中〜大(撮影は5〜20万円)
CMS構築「更新できる」と思っていたが静的で更新できない大(後付けは割高)
公開後の保守サーバー・更新・不具合対応の窓口が不明確中(月5,000〜3万円)
修正回数の上限「ここも直して」が際限なく続く中(工数増で追加請求)

並べてみると分かるとおり、追加費用の正体はデザインの作り直しではなく、準備工程の責任分界があいまいなまま走ることでした。特に多いのが「原稿後出し問題」。デザインに入る段階で原稿が決まっておらず、完成後に文章が大幅に差し替わって組み直しになるパターンです。

発注側は、見積もりを取るときに「原稿は誰が書くか」「写真は撮影か支給か」「CMSで更新できるのはどのページか」「公開後の保守は含まれるか」の4点を、最初に1つずつ質問してください。受注側は、この4点を見積もりに1行ずつ明示するだけで、案件後半のトラブルが大きく減ります。

CMSの有無で何が変わるのか

コーポレートサイトの費用を左右する最大の分かれ目がCMSです。WordPressなどを入れて発注側が自分で更新できる形にすると、初期費用は上がります。そのかわり、お知らせ・採用情報・ブログを自社で更新でき、その都度の外注費がかかりません

一方、更新頻度が年に数回程度なら、静的なHTMLで作って「更新は都度依頼」のほうがトータルでは安く済むこともあります。判断軸は「公開後、誰が・どのページを・どのくらいの頻度で更新するか」。ここを決めずにCMSを入れると、使われないまま保守費用だけ払い続ける、ということになりがちです。

公開後の保守費用はどう考える?

コーポレートサイトは「作って終わり」ではありません。公開後の保守が継続的に発生します。ここを見落として初期費用だけで比較すると、後で想定外の出費になります。

保守費用の内訳は、おおむね次の要素で構成されます。

保守項目内容目安
サーバー・ドメインレンタルサーバー代・独自ドメイン更新月500〜3,000円程度
CMS・プラグイン更新WordPress本体やプラグインの安全な更新月3,000〜1万円
軽微な更新代行お知らせ・実績の追加など月3,000〜2万円
バックアップ・障害対応定期バックアップと不具合時の窓口月3,000〜1万円

全体では月5,000〜3万円が一般的な目安です。CMSを入れたサイトは、セキュリティ更新を放置すると改ざんやトラブルのリスクがあります。保守を「誰が見るか」を契約前に決めておくことが大切です。サーバー選びそのものの考え方は、Webデザイン独学ロードマップで触れた環境構築の話とも通じます。

発注側として注意したいのは、「保守費用が見積もりに含まれているか」「含まれない場合、公開後の更新は1回いくらか」を最初に確認すること。安い初期費用でも、保守の窓口が不明確だと、ちょっとした更新のたびに割高な都度料金がかかることがあります。

失敗しない発注のための6ステップ

ここまでの内容を、発注する側が失敗しないための実践ステップとして整理します。受注側の方は、これを逆から読むと「適正な見積もりを提示するコツ」として使えます。

  1. サイトの目的を1つに絞る
  2. 必要なページを書き出す
  3. CMSの要否を決める
  4. 原稿・写真の準備分担を決める
  5. 保守の範囲と費用を確認する
  6. 取引条件を書面で明示してもらう

実践のポイントは、次の6点です。

発注6ステップの中身
  • サイトの目的を1つに絞る:「採用強化」「問い合わせ増加」「信頼感の醸成」のどれが主目的かを先に決める。目的が曖昧だとページ数が膨らみ費用が上がる
  • 必要なページを書き出す:本当に必要なページに絞る。「あとで足せる」ページは初期から作らない
  • CMSの要否を決める:公開後に誰がどのページを更新するかを決める。更新頻度が低いなら静的でも十分なことがある
  • 原稿・写真の準備分担を決める:原稿を自社で書くか制作側に頼むか、写真は撮影か支給かを見積もり前に決める。ここが費用差の大きな要因
  • 保守の範囲と費用を確認する:公開後の保守に何が含まれ、含まれない更新は1回いくらかを契約前に確認する
  • 取引条件を書面で明示してもらう:フリーランス新法に基づき、納期・金額・修正回数・知的財産権の扱いを書面で確認する

このステップを踏むだけで、見積もりの比較が「金額の数字比べ」から「内容の中身比べ」に変わります。安物買いの追加費用を避けられます。

よくある質問

コーポレートサイトの制作費用について、発注を検討する方からよく聞かれる質問を整理します。

Q1:コーポレートサイトの制作費用の相場はいくらですか?

依頼先とページ数で幅があり、フリーランスで20〜80万円、小規模制作会社で50〜150万円、中堅制作会社で100〜300万円が目安です。

価格差の正体はページ数だけではありません。CMS(更新システム)の有無、原稿・写真を誰が用意するか、公開後の保守を含むかの違いです。同じ「コーポレートサイト100万円」でも、見積もりに何が含まれるかで実質価値は大きく異なります

Q2:フリーランスにコーポレートサイトを頼んで大丈夫ですか?

ページ数が10ページ前後の標準的な会社案内サイトなら、中堅フリーランスでも十分に対応できます

注意したいのは、フリーランスへの依頼は「原稿と写真は発注側支給」が前提のことが多い点。原稿執筆や撮影まで頼みたい場合は、対応可能か確認しましょう。また、進行管理を巻き取るディレクターがいないため、社内で窓口を1人決めておくと進行がスムーズです。

Q3:CMS(WordPress)は入れたほうがいいですか?

公開後にお知らせ・採用情報・ブログを自社で更新したいならCMSを入れる価値があります

逆に更新が年に数回程度なら、静的なHTMLで作って都度依頼するほうがトータルでは安く済むこともあります。判断軸は「誰が・どのページを・どのくらいの頻度で更新するか」。ここを決めずにCMSを入れると、使われないまま保守費用だけかかることになりがちです。

Q4:公開後の保守費用はどのくらいかかりますか?

サーバー・ドメイン代、CMSやプラグインの更新、軽微な更新代行、バックアップ・障害対応などを含めて、月5,000〜3万円が一般的な目安です。

CMSを入れたサイトはセキュリティ更新を放置するとトラブルのリスクがあるため、保守を誰が見るかを契約前に決めておくことが大切です。初期費用だけで比較せず、保守費用も含めた総額で検討しましょう。

Q5:制作費用を抑えるコツはありますか?

まずサイトの目的を1つに絞り、本当に必要なページだけに絞ることです。

次に、原稿を自社で用意できるなら原稿執筆を依頼から外す、更新頻度が低いならCMSを入れない、といった「自分で巻き取れる部分」を整理すると費用は下がります。ただし、安さだけを優先して原稿・写真のクオリティが落ちると、サイトの目的そのものが達成できなくなります。何を削り何を残すかの線引きが大切です。

まとめ:コーポレートサイトの費用は「設計の中身」で決まる

コーポレートサイトの制作費用を、最後に整理します。

この記事のまとめ
  • 制作費用はフリーランス20〜80万/小規模50〜150万/中堅100〜300万の3水準に分かれる
  • 価格差の正体はページ数ではなくCMSの有無・原稿や素材の負担分界・保守範囲の差
  • 後で費用が膨らむのは原稿・写真・CMS・保守の4項目。見積もりに含まれるか1つずつ確認する
  • 公開後の保守費用は月5,000〜3万円が目安。何を含むかを契約前に決める
  • 発注側は目的を1つに絞り、必要ページとCMSの要否を先に決める。受注側は4項目を見積もりに明示する

見積もりを比較するときは「金額の数字」を並べるのではなく、原稿・写真・CMS・保守の4項目が含まれているかを1つずつ確認すること。これが、安物買いの追加費用を避ける最も基本的な防御策です。

発注側はサイトの目的を1つに絞り、必要なページとCMSの要否を先に決めること。受注側は4項目を見積もりに1行ずつ明示すること。この両方が揃うと、価格と品質のバランスが取れた発注・受注になります。まずは手元の要件を「目的・ページ・CMS・素材・保守」の5点で書き出すところから始めてみてください。


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免責事項

※本記事はWeb制作の発注・受注に関する公開情報と制作現場での知見をもとにした整理です。制作費用・単価・各種制度は変動するため、具体的な費用・契約条件は依頼先の制作者や制作会社、各公式情報をご確認のうえご判断ください。契約・知的財産権・税務に関わる重要な判断は、必要に応じて弁護士・税理士など有資格者へご相談ください。


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この記事を書いた人

Web制作会社を7年勤めて独立して4年、累計150案件を超えてきた Shimizu です。フリーランスになりたい人が増えるたびに「稼げますか」と聞かれますが、正直に言えば「1年目はかなりきつかった」です。

クラウドソーシングで月10万円を稼ぐのも最初は大変で、単価を上げるために何を変えたか、なぜ直営業に切り替えたのか、Figmaを覚えたことで何が変わったか――これらは「なんとなくフリーランスになれた人の話」ではなく、会社員時代に副業で準備し、独立後に単価を段階的に引き上げてきた4年分のリアルな試行錯誤の記録です。

デジハリなどのスクールが「卒業生の就職率○○%」と言っているのが本当かどうか、クラウドワークスとランサーズのどちらが案件を取りやすいか、LP制作の単価相場はどこで下げ止まるか。自分が迷ってきたことと、後輩から受けてきた相談を整理してお伝えします。**個別の契約・料金交渉・確定申告の判断については、弁護士・税理士など専門家にご相談ください**。

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