バナー模写の練習法|伸びる人の進め方と数だけこなして上達しない人の違いを採用側が解説

「バナー模写を何枚もやっているのに、自分の作るものが一向に上手くならない」。これは私が制作会社で未経験者を教育していたときも、フリーランスになって学習中の方から相談を受けるようになってからも、繰り返し聞いてきた悩みです。

先に結論を言うと、バナー模写は「枚数」で上達するものではありません。同じ10枚でも、伸びる人と伸びない人では模写の進め方がまったく違います。そして私が採用側として見てきた限り、その差は才能ではなく「1枚から何を持ち帰るか」という手順の差でした。

この記事では、制作会社で7年(バナー制作から始まり、LP・コーポレートサイト・ディレクションまで)を経験し、未経験者を採用・教育してきた側の視点と、150案件超を担当してきた実務目線から、「現場で本当に力がつくバナー模写の練習法」を整理します。手順だけを並べた記事は多いのですが、この記事の持ち味は「採用側が見て伸びると感じる模写のやり方」と「数だけこなして止まってしまう人の共通点」という、空白になりがちな線引きを言語化している点です。

この記事のポイント(先に結論) ・バナー模写は枚数より「1枚をどこまで分解して言語化したか」で伸びが決まる ・上達しない人の共通点は「見た目を写すだけ」「なぜそのデザインかを考えない」「完成後に答え合わせをしない」の3つ ・模写10〜20枚を目安に、要素を入れ替える「アレンジ模写」を挟んでオリジナルへ移行するのが現実的

目次

バナー模写は本当に意味があるの?

意味はあります。ただし「正しく取り組めば」という条件付きです。

私自身、新人時代にバナーの模写を何十枚も重ねたことが、その後の仕事の土台になりました。プロがどう余白を取り、どう色数を絞り、どう情報に優先順位をつけているか。これらは解説を読むだけでは身につかず、実際に同じものを作ろうと手を動かして初めて「なぜこうなっているのか」が腹落ちします。模写は、完成された設計を分解して盗む、最も効率のいい練習だと考えています。

一方で、制作会社で未経験者を見ていると「模写を100枚やりました」と言うのに、作るものが初期とほとんど変わっていない人が一定数いました。逆に、10枚程度でも目に見えて伸びる人がいる。この差を生んでいたのが、後で詳しく書く「1枚の扱い方」でした。

期待値の話もしておきます。模写を始めて自分のバナーが整って見えるようになるまで、どのくらいかかるかは本当に人によります。私が見てきた範囲では、週に数枚を丁寧に続けられる人で数か月という体感ですが、これは生活環境や前提知識で大きく変わります。「模写◯枚で必ず仕事になる」という断言はできないと考えてください。大事なのは枚数のノルマではなく、1枚ごとの密度です。

伸びる人はバナー模写をどう進めているの?

採用側として「この人は伸びる」と感じた人たちには、共通した進め方がありました。整理すると次の流れになります。

工程やること伸びる人がここで意識していること
1. 観察模写する前にバナーをじっくり見る「なぜ目を引くか」を先に言葉にする
2. 分解文字・余白・色・写真の役割を分ける主役と脇役の優先順位を見抜く
3. 再現できるだけ忠実に作り直すフォント・字間・余白を目分量で済ませない
4. 答え合わせ元と並べてズレを探すズレた理由を1つ言語化する
5. 記録学んだことを一言メモする次の模写に持ち越す

この5工程のうち、伸びる人ほど「3. 再現」よりも「1. 観察」と「4. 答え合わせ」に時間をかけていました。

具体的に説明します。再現だけを急ぐ人は、元のバナーをチラ見しては作り、また見ては作りを繰り返します。これだと「写経」にはなっても、設計の意図が頭に残りません。一方で伸びる人は、作り始める前に「このバナーはセールの価格をいちばん目立たせたいから、数字を大きく赤にして、上の説明文を小さく抑えているんだな」と、デザインの狙いを先に言葉にしていました。狙いが分かったうえで再現するので、手を動かす一回一回が「なぜ」とセットになり、記憶に定着します。

回数の目安についてもよく聞かれます。私の感覚では、こうした密度の高い模写を10〜20枚も丁寧にやれば、自分でバナーを組むときの引き出しはかなり増えます。100枚を雑にやるより、20枚を分解・言語化付きでやるほうが、現場で見たときの伸びは明らかに大きかったです。

模写するバナーの選び方

何を模写するかも、地味に伸びを左右します。

おすすめは、まず「自分が目を引かれた実在のバナー」を選ぶことです。ECサイトのセールバナー、アプリの広告、SNSの広告など、プロが予算をかけて作ったものには学べる設計が詰まっています。逆に、初心者向けの作例として作られた練習用バナーばかり模写すると、現場の情報量や制約から離れてしまうことがあります。

もう一つのコツは、似た系統を続けて模写することです。たとえばセール系バナーを3枚続けて模写すると、「セール訴求では価格と期限をどう目立たせるか」という共通パターンが見えてきます。バラバラのジャンルを1枚ずつやるより、シリーズで取り組むほうが法則として頭に残りやすいです。

数だけこなして上達しない人の共通点は?

ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。教育担当として多くの未経験者を見てきて、模写を重ねても伸びない人には、はっきりした共通点がありました。

1つ目は「見た目だけを写して、なぜを考えない」こと。元のバナーと同じ配置・同じ色にすることがゴールになっていて、「なぜこの配置なのか」を考えていません。これだと完成しても、別のバナーを自分で作るときに応用が効かないのです。模写は形を写す作業ではなく、設計の理由を盗む作業だと捉え直すと、同じ1枚でも得られるものが変わります。

2つ目は「答え合わせをしない」こと。作り終えたら、元のバナーと自分の模写を並べて見比べる工程が欠かせません。伸びない人は完成した時点で満足し、ここを飛ばしてしまいます。並べると、たいてい「余白が狭い」「文字が大きすぎる」「色がくすんでいる」といったズレが見えます。このズレに気づき、理由を一つでも言葉にすることが、次の1枚の精度を上げます。

3つ目は「完成させきらない」こと。少し作っては別のバナーに目移りし、中途半端なものが増えていくパターンです。これは独学全般で本当に多いつまずきで、私自身も学び始めの頃は身に覚えがあります。粗くても1枚を最後まで仕上げる経験を積まないと、細部を詰める力が育ちません。

正直に言うと、これらは才能の問題ではなく、進め方の問題です。だからこそ手順を変えれば誰でも改善できる、と私は考えています。

バナー模写からオリジナルへはいつ移行すればいいの?

模写を続けていると、「いつまで模写を続ければいいのか」「いつオリジナルを作り始めればいいのか」が分からなくなる方が多いです。

私が一つの目安にしていたのは、「元のバナーを見て、なぜそのデザインになっているかを自分の言葉で説明できるようになったか」です。配置や色をただ真似できるだけでなく、その狙いを言語化できるようになってきたら、移行のサインだと考えていました。枚数で言えば、密度の高い模写を10〜20枚ほど重ねたあたりで、この感覚が育ってくる人が多かったです。

ただ、模写からいきなり完全オリジナルへ飛ぶと、急に何も浮かばなくなって手が止まりがちです。そこでおすすめしているのが、間に「アレンジ模写」を挟むことです。

段階内容目的
純粋な模写元を忠実に再現する設計の意図を盗む
アレンジ模写元の構成を保ち、商材・色・文言だけ変える構成の応用力をつける
オリジナル自分で構成から考える設計力を試す

アレンジ模写とは、たとえば「化粧品セールのバナーの構成はそのまま使い、商材を架空のカフェに置き換える」といった練習です。優れた構成という土台を借りたまま、中身を自分で考える経験ができるので、完全オリジナルへの橋渡しになります。私が新人に勧めていたのもこの中間ステップで、ここを挟むと「真似はできるけど自分では作れない」という壁を越えやすくなります。

移行のタイミングに正解はなく、人によって幅があります。焦って早すぎる段階でオリジナルに行くと挫折しやすいので、アレンジ模写で手応えを感じてから進むくらいが、結果的に近道になりやすいと感じています。

ポートフォリオに模写バナーは載せていいの?

これは相談でよく聞かれる質問で、採用側としての本音を書きます。

結論から言うと、「模写であることを伏せて、自分の実績のように載せる」のは避けたほうがいいです。私が応募者の作品を見ていたとき、明らかにどこかの広告と同じバナーが「制作物」として並んでいると、その時点で信頼度が下がりました。意図したわけでなくても、他人の成果物を自分のものとして提示しているように見えてしまうからです。

ただし、模写そのものをポートフォリオに使ってはいけない、という話ではありません。見せ方次第で十分にプラスに働きます。ポイントは2つです。

1つ目は「模写であると明記する」こと。「学習のために実在の◯◯バナーを模写したものです」と添えるだけで、誠実さが伝わります。採用側は、応募者が他人の作品を尊重できる人かどうかも見ています。

2つ目は「分析を添える」こと。模写バナーの横に「このバナーは価格を主役にするため、数字を最大サイズで配置していると分析した」といった一言を添えると、ただ真似たのではなく設計を理解して取り組んだことが伝わります。私は作品の数より、こうした「なぜそう作ったかを説明できる力」を見ていました。模写でも、分析が添えてあれば十分に評価対象になります。

とはいえ、ポートフォリオの主役はやはりオリジナル作品やアレンジ作品であるべきです。模写は「学習の過程」として補助的に見せる、という位置づけが安全だと考えています。

独学で伸び悩んだと感じたときの選択肢

ここまで自分でできる練習法を中心に書いてきましたが、最後に正直なことも伝えておきます。

模写で力がつく範囲には限界があります。観察・分解・再現・記録までは独学で十分に積めますが、「自分の模写やオリジナルが現場の基準でどう見えるか」という答え合わせだけは、独学では構造的に補いにくい部分です。私自身、独立した当初は独学の我流のまま走っていて、誰にもフィードバックをもらわなかったために単価がなかなか上がりませんでした。あとから振り返ると、第三者の目を早めに入れていれば、もっと遠回りせずに済んだはずだと思っています。

もし模写を続ける中で「これ以上は一人だと伸び悩む」「自分のバナーが仕事で通用するレベルか分からない」と感じたら、無料のカウンセリングやスクールの相談で第三者の視点を取り入れるのは、遠回りを減らす現実的な選択です。すぐに通うかどうかは別として、まず自分の立ち位置を確認するだけでも、次に何を練習すべきかが見えやすくなります。

最初から全部を有料で学ぶ必要はありません。模写という独学で積める部分はしっかり積んだうえで、「自分では気づけないズレ」を見てもらう範囲だけを人に頼る。これが、私が遠回りから学んだいちばん現実的な進め方です。

バナー模写の練習:上達するための進め方

ここまでの内容を、実際に動くための手順としてまとめます。この順番で取り組めば、枚数に頼らずに力をつけやすくなります。

  1. 目を引かれた実在バナーを選ぶ:プロが作ったセール・広告バナーから、自分が良いと感じたものを選ぶ。練習用の作例より実物が望ましい。
  2. 作る前に狙いを言語化する:「なぜ目を引くのか」「何を主役にしているのか」を一言で書き出してから手を動かす。
  3. 余白・字間まで忠実に再現する:配置や色だけでなく、余白の広さやフォントのサイズ感も目分量で済ませず合わせる。
  4. 元と並べて答え合わせする:完成後に元バナーと並べ、ズレた箇所とその理由を1つ言葉にする。
  5. 学びを一言メモして次へ持ち越す:気づいたことを記録し、似た系統のバナーを続けて模写して法則化する。
  6. アレンジ模写を経てオリジナルへ移行する:狙いを説明できるようになったら、商材だけ入れ替えるアレンジ模写を挟み、徐々にオリジナルへ進む。

この手順なら、暗記でも作業でもなく「設計を読み解く力」と「完成させる力」が身につきます。採用側として言えば、この2つがある人は、たとえ実務未経験でも十分に検討の対象になります。

よくある質問

Q1. バナー模写は何枚くらいやれば上達しますか?

A. 枚数そのものより1枚の密度が大事です。観察・分解・再現・答え合わせ・記録まで丁寧に行う模写なら、10〜20枚も重ねれば引き出しはかなり増えるというのが私の体感です。100枚を雑にこなすより、20枚を言語化付きで取り組むほうが、現場で見たときの伸びは明らかに大きかったです。ただし上達のスピードには個人差が大きく、「◯枚で必ず上手くなる」という断言はできません。

Q2. 数をこなしているのに上達しないのはなぜですか?

A. 見てきた範囲では、上達しない人には「見た目だけを写してなぜを考えない」「完成後に元と並べる答え合わせをしない」「最後まで仕上げきらない」という3つの共通点がありました。模写は形を写す作業ではなく設計の理由を盗む作業だと捉え直し、作る前に狙いを言語化し、完成後に必ず答え合わせをする。この2点を足すだけで、同じ枚数でも得られるものが変わります。

Q3. 模写からオリジナル制作へはいつ移行すればいいですか?

A. 一つの目安は「元のバナーを見て、なぜそのデザインかを自分の言葉で説明できるようになったか」です。密度の高い模写を10〜20枚ほど重ねるとこの感覚が育ってくる人が多いです。ただし純粋な模写からいきなり完全オリジナルへ飛ぶと手が止まりやすいので、構成は元のまま商材や色だけ変える「アレンジ模写」を間に挟むと移行しやすくなります。

Q4. 模写したバナーをポートフォリオに載せてもいいですか?

A. 模写であることを伏せて自分の実績のように載せるのは避けてください。採用側として、他人の広告と同じものが制作物として並んでいると信頼度が下がります。一方で「学習のために実在の◯◯バナーを模写したもの」と明記し、設計の分析を一言添えれば、十分に評価対象になります。ただしポートフォリオの主役はオリジナルやアレンジ作品にして、模写は学習過程の補助として見せるのが安全です。

Q5. 模写するバナーはどう選べばいいですか?

A. まずは自分が目を引かれた実在のバナーを選ぶのがおすすめです。ECのセールバナーやアプリ広告など、プロが予算をかけて作ったものには学べる設計が詰まっています。さらに、セール系を3枚続けるなど似た系統をシリーズで模写すると、「価格と期限をどう目立たせるか」といった共通パターンが法則として頭に残りやすくなります。

まとめ:枚数ではなく「1枚の密度」で差がつく

バナー模写は、正しく取り組めば設計を盗める最高の練習です。ただし伸びるかどうかを決めるのは枚数ではなく、「1枚をどこまで分解して言語化したか」でした。

採用側として見てきて言えるのは、上達しない人の共通点は才能ではなく進め方にあるということです。見た目だけを写さず狙いを先に言葉にする、完成後に元と並べて答え合わせをする、最後まで仕上げきる。この3つを意識するだけで、同じ枚数でも伸びは大きく変わります。

そして、密度の高い模写を10〜20枚重ねて狙いを説明できるようになったら、アレンジ模写を挟んでオリジナルへ移行する。独学で積める部分はしっかり積み、「自分では気づけないズレ」だけは早めに第三者の目を借りる。これが、私が遠回りから学んだいちばん現実的な進め方です。焦らず、まずは1枚を丁寧に仕上げてみてください。

あわせて、模写を学習全体のどこに位置づけるかを整理しておくと、迷いが減ります。

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この記事を書いた人

Web制作会社を7年勤めて独立して4年、累計150案件を超えてきた Shimizu です。フリーランスになりたい人が増えるたびに「稼げますか」と聞かれますが、正直に言えば「1年目はかなりきつかった」です。

クラウドソーシングで月10万円を稼ぐのも最初は大変で、単価を上げるために何を変えたか、なぜ直営業に切り替えたのか、Figmaを覚えたことで何が変わったか――これらは「なんとなくフリーランスになれた人の話」ではなく、会社員時代に副業で準備し、独立後に単価を段階的に引き上げてきた4年分のリアルな試行錯誤の記録です。

デジハリなどのスクールが「卒業生の就職率○○%」と言っているのが本当かどうか、クラウドワークスとランサーズのどちらが案件を取りやすいか、LP制作の単価相場はどこで下げ止まるか。自分が迷ってきたことと、後輩から受けてきた相談を整理してお伝えします。**個別の契約・料金交渉・確定申告の判断については、弁護士・税理士など専門家にご相談ください**。

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