PhotoshopとIllustratorどっち?Webデザイン初心者がまず学ぶべき方を現場視点で解説

「Webデザインを始めたいけれど、PhotoshopとIllustratorのどっちを先に買えばいいの?」「両方ないとダメ?」。これは私が制作会社で未経験採用の面接をしていた頃も、フリーランスになって相談を受けるようになってからも、本当によく聞かれる質問です。

結論から言うと、 Webデザインを目的にするなら、まずPhotoshop(または同等の画像加工系)から入るほうが現場で困りにくい というのが、制作会社7年でバナーからコーポレートサイトまで作ってきた私の実感です。ただしこれは「Illustratorは要らない」という話ではありません。両者は得意分野がはっきり分かれていて、現場では場面ごとに使い分けます。

この記事では、機能の一覧比較ではなく、 実際の制作現場でPhotoshopとIllustratorをどう使い分けているか未経験で入ってきた人がどちらから入って伸びた/挫折したか という一次情報をもとに、初心者が最初に詰めるべき方を整理します。スペック表を眺めても判断できなかった人に、現場の肌感覚で答えを出すのがこの記事の持ち味です。

この記事のポイント(先に結論) ・Webデザイン目的なら、まずPhotoshop(画像加工系)を1本に絞って深めるのが現実的 ・現場ではバナー・写真合成はPhotoshop、ロゴ・作字・アイコンはIllustratorと役割が分かれる ・初心者が両方を同時に薄く触ると、どちらも中途半端になりやすい ・最近はFigmaが標準化しつつあり、サブスクをどこに払うかは目的しだいで変わる

目次

PhotoshopとIllustratorは何が違うの?

まず大前提として、この2つは「似たソフト」ではなく「目的の違う道具」です。ここを混同したまま比較すると、いつまでも判断がつきません。

ざっくり言うと、Photoshopは「写真・画像を扱うソフト」、Illustratorは「図形・線・文字をきれいに扱うソフト」です。技術的にはPhotoshopがピクセル(点の集まり)ベース、Illustratorがベクター(数式で表現する線)ベースという違いがありますが、初心者のうちは「写真をいじるのがPhotoshop、ロゴやイラストを作るのがIllustrator」くらいの理解で十分です。

私が制作会社にいた頃、新人がよく勘違いしていたのが「高機能なほうを買えば全部できる」という発想でした。実際は逆で、Photoshopでロゴを作ろうとすると拡大したときに輪郭がぼやけてしまうし、Illustratorで写真を細かくレタッチしようとすると途端に手数が増えます。それぞれが苦手なことを無理にやらせると、作業効率も仕上がりも落ちます。だからこそプロは2つを使い分けているわけです。

下の表は、私が未経験者に説明するときに使っている整理です。

観点PhotoshopIllustrator
得意なこと写真加工・合成・バナー・質感表現ロゴ・作字・アイコン・図版・印刷物
データの種類ピクセル(拡大で粗くなる)ベクター(拡大しても劣化しない)
Webデザインでの主な出番バナー・OGP画像・写真の加工ロゴ・装飾文字・図解イラスト
初心者の学びやすさ直感的に効果が出て楽しい概念の理解にややクセがある

この表のうち、Webサイト制作で日常的に出番が多いのはPhotoshop側の作業です。そこが「まずPhotoshop」と私が言う理由の土台になっています。

Webデザインの現場ではどう使い分けているの?

ここが、機能比較記事ではなかなか書かれない部分です。私が制作会社の7年間とフリーランスの150案件超で、実際にどう2つを使い分けてきたかを正直に書きます。

私の場合、 バナー・キャンペーン用の画像・写真の切り抜きや色補正はほぼ100% Photoshop です。Web広告のバナーは写真を背景に文字を乗せることが多く、写真をなじませたり影をつけたりする作業がメインになります。これはPhotoshopの独壇場で、Illustratorでやろうとすると逆に大変です。私が制作会社で最初の2年間ひたすら任されたバナー制作も、ほぼPhotoshopだけで完結していました。

一方、 ロゴ・サービス名のあしらい(作字)・アイコン・図解イラストはIllustrator を使います。これらは「あとから拡大・縮小しても劣化しない」ことが絶対条件だからです。たとえばクライアントのロゴは、名刺サイズから看板サイズまで使い回されます。Photoshopで作ってしまうと大きく使うときに粗が出るので、ここは必ずIllustratorで作ります。コーポレートサイトを担当したとき、サービス紹介の図解だけIllustrator、それ以外の写真まわりはPhotoshop、という分担で進めたこともありました。

そして最近の現場で外せないのが Figma です。サイトやアプリの画面全体をデザインする工程は、ここ数年でFigmaが標準になりました。私自身、LPやコーポレートサイトの「レイアウトを組む」段階はFigmaで進め、その中に置くバナーや写真の加工だけPhotoshopで作る、という流れが今は一番多いです。つまり現場は「Photoshopか、Illustratorか」の二択ではなく、 目的ごとに3つを行き来している のが実態です。

この使い分けを知らずに「とりあえず両方買って両方勉強しよう」とすると、どちらも浅いまま時間を使ってしまいます。先に自分が作りたいものを決めて、そこで主に使う1本から深めるのが、遠回りを避けるコツです。

初心者はPhotoshopとIllustratorどっちから学ぶべき?

ここが一番知りたいところだと思います。私の答えは、 「Webデザインを目的にするなら、まずPhotoshop(画像加工系)から」 です。理由を3つに分けて説明します。

1つ目は、 Web制作の初期に任されやすい仕事がPhotoshop寄りだから です。私が制作会社で未経験者に最初に振っていたのは、バナー制作や写真の差し替え、画像のサイズ調整といった作業でした。これらはほぼPhotoshopで完結します。Illustratorの出番であるロゴ制作などは、もう少し経験を積んでから任せる傾向がありました。最初の半年で触る頻度が高いツールから固めるほうが、現場に出たときの立ち上がりが速いのです。

2つ目は、 初心者が成果を実感しやすいから です。Photoshopは「写真の色を整える」「不要なものを消す」といった操作で、目に見えて結果が変わります。この「できた」という手応えが、独学を続けるモチベーションになります。一方Illustratorは、ベクターやパスといった概念の理解が先に必要で、最初の壁がやや高い。私が教育担当をしていたとき、Illustratorから入った未経験者のほうが「最初の1ヶ月でつまずいて離脱しやすい」傾向は確かにありました。

3つ目は、 多くの教材・案件がPhotoshop前提で書かれているから です。Webデザインの入門書やバナーの作り方解説は、Photoshopを想定したものが今も多数派です。最初に触るツールが教材と一致していると、学習のつまずきが減ります。

ただし例外もあります。ロゴ制作・名刺やチラシなどの印刷物・イラストを主な目的にするなら、迷わずIllustratorから始めてください。「自分が何を作りたいか」が出発点で、そこから逆算してツールを選ぶのが正解です。Webサイトやバナーを作りたいならPhotoshop寄り、ロゴや図版を作りたいならIllustrator寄り、と覚えておけば大きく外しません。

両方サブスクは初心者に必要なの?

これもよく聞かれます。結論は、 学習を始めたばかりの段階で両方に課金する必要はない というのが私の考えです。

理由はシンプルで、ツールは案件をこなしながら自然に増えていくものだからです。私自身、最初の数ヶ月はほぼPhotoshopしか触っていませんでした。Illustratorが必要になったのは、ロゴやあしらいを任されるようになってからです。最初から両方契約しても、片方をほとんど起動しないまま月額だけ払い続ける、というのは独学者によくある「もったいない使い方」です。

費用面でも、AdobeのプランはPhotoshop単体・Illustrator単体・両方を含むコンプリートプランで料金が変わります(具体的な料金や提供プランは時期によって改定されるため、契約前に必ず公式サイトで最新の内容を確認してください)。最初は自分の目的に合う1本を選び、もう一方が本当に必要になった段階でプランを見直すほうが、無駄なく続けられます。

なお、まったく課金せずに練習したい人は、無料の体験版や代替ソフト(写真加工系の無料ツールなど)でツールの感覚をつかんでから判断するのも一つの手です。ただし、現場で実際に使われているのはAdobe製品が依然として多いので、本気で仕事を目指すなら、どこかの段階でPhotoshopかIllustratorに触れておくことをおすすめします。

未経験者はどちらから入って伸びた・挫折したの?

ここは私が採用・教育する側として見てきた一次情報です。機能の話ではなく「人がどう伸びたか」の話なので、ツール選びの参考になると思います。

伸びた人に共通していたのは、 1本のツールで作品を最後まで完成させた経験を早い段階で持っていた ことです。Photoshopならバナーを1枚、隅々まで仕上げきる。その「完成させる」体験が自信になり、次のツールにも前向きに進めていました。逆に、PhotoshopとIllustratorを同時に薄く触っていた人は、どちらも入門編で止まってしまい、半年経っても作品が1つも完成しない、というケースが目立ちました。

挫折しやすかったのは、 道具の習得を目的にしてしまった人 です。「Photoshopの機能を全部覚えてから作品を作ろう」と考えると、機能解説動画を延々と見続けるだけで手が動かなくなります。実際には、機能は作りながら必要に応じて調べれば十分です。私が新人に伝えていたのも「全機能を覚える必要はない。まず1枚作って、足りない機能だけ都度調べよう」ということでした。

もう一つ、Illustratorから入って苦戦した人に多かったのが、 ベクターやパスの概念につまずいて離脱する パターンです。これは本人のセンスの問題ではなく、最初の壁の高さの問題です。だからこそ、Web目的の人にはまず手応えを得やすいPhotoshopから、と私はすすめています。

採用側の本音を言えば、ツールを何本使えるかより「1つでもいいから完成させた作品があるか」「なぜそう作ったかを説明できるか」を見ていました。ツールは入口であって、評価されるのはその先のアウトプットです。だから入口で迷いすぎず、まず1本に絞って動き出すのが、結局いちばんの近道になります。

独学で限界を感じたらどうすればいいの?

ここまで読んで、「ツールはなんとなく分かったけど、自分の作ったものが現場で通用するのか不安」と感じた人もいると思います。これは独学のいちばんの弱点です。

私自身、フリーランスとして独立した当初は独学で覚えた我流のまま案件を受けていて、単価がなかなか上がりませんでした。あとから振り返ると、「自分の作品を他人の目で見てもらう」工程を省いていたことが原因でした。ツールの操作は独学で十分身につきますが、 自分のデザインが現場の基準とどれくらいズレているかは、自分では気づけない のです。

ツールの操作習得やデザインの基礎知識は、書籍や無料の解説でかなりのところまで独学でまかなえます。お金を払う価値が大きいのは「作品へのフィードバックを受ける部分」と「実務の進め方を体系的に教わる部分」です。ここを早めに人に頼っていれば、私の独立1年目はもっと違ったはずだと今でも思います。

もし「PhotoshopもIllustratorも一通り触ったけれど、ここから先が一人だと伸び悩む」と感じたら、無料のカウンセリングやスクールの相談で第三者の視点を取り入れるのは、遠回りを減らす現実的な選択です。通うかどうかは別として、まず相談して自分の立ち位置を確認するだけでも、次に何を詰めるべきかが見えやすくなります。

ツールを契約する前に「いまの自分にどちらが必要か」を相談してから判断するのも、無駄な課金を避ける一つの方法です。最初から全部を有料で揃える必要はありません。

まずどっちを選ぶか:目的別の早見表

最後に、迷ったときの判断材料を目的別にまとめます。自分が作りたいものに近い行を見れば、最初に深めるべき1本が分かります。

作りたいものまず深めるツール補足
Web広告バナー・OGP画像Photoshop写真合成・文字乗せが中心
写真の加工・レタッチPhotoshopPhotoshopの独壇場
ロゴ・サービス名の作字Illustrator拡大縮小に強いベクターが必須
アイコン・図解イラストIllustrator線と図形を扱う作業向き
サイト・アプリの画面全体Figma(+Photoshop)レイアウトはFigma、画像加工はPhotoshop
名刺・チラシなど印刷物Illustrator印刷データはベクター前提が多い

Webサイトやバナーを作りたい人が大多数だと思うので、その場合は「まずPhotoshopを1本に絞って深め、必要になったらIllustratorやFigmaを足す」という順番で進めれば、迷わず動き出せます。

よくある質問

Q1. PhotoshopとIllustrator、Webデザインならどっちが先ですか?

A1. Webサイトやバナーを作りたいなら、まずPhotoshop(画像加工系)から入るのが現実的です。Web制作の初期に任されやすいバナー制作や写真の加工はPhotoshopで完結する作業が多く、成果も実感しやすいためです。ロゴや印刷物を主に作りたい場合はIllustratorから始めてください。「何を作りたいか」を出発点に選ぶのが失敗しないコツです。

Q2. 両方サブスク契約しないとWebデザインはできませんか?

A2. 学習を始めたばかりの段階では、両方に課金する必要はありません。ツールは案件をこなしながら自然に増えていくもので、私自身も最初の数ヶ月はほぼPhotoshopだけでした。まず目的に合う1本を選び、もう一方が本当に必要になってからプランを見直すほうが無駄がありません。料金やプランは改定されることがあるため、契約前に必ず公式サイトで最新の内容を確認してください。

Q3. Photoshopでロゴを作ってはいけないのですか?

A3. 作れないわけではありませんが、おすすめしません。Photoshopはピクセルベースのため、ロゴを大きく拡大すると輪郭がぼやけてしまいます。ロゴは名刺から看板まで様々なサイズで使われるので、拡大しても劣化しないベクターで作れるIllustratorが向いています。現場でもロゴやあしらいはIllustrator、写真まわりはPhotoshopと使い分けるのが一般的です。

Q4. 最近よく聞くFigmaはPhotoshopやIllustratorの代わりになりますか?

A4. 完全な代わりではなく、役割が違います。Figmaはサイトやアプリの画面全体をデザインする工程に強く、ここ数年で標準になりました。一方、写真の加工はPhotoshop、ロゴや図版はIllustratorが向いています。現場では画面全体のレイアウトをFigmaで組み、その中に置く画像をPhotoshopで作る、という形で行き来するのが今は一般的です。

Q5. 機能を全部覚えてから作品を作ったほうがいいですか?

A5. その進め方はおすすめしません。私が採用・教育する側として見てきた限り、機能の習得を目的にした人ほど手が止まり、作品が完成しないまま離脱しがちでした。逆に、まず1枚作ってみて足りない機能だけ都度調べた人のほうが早く伸びています。評価されるのはツールの知識量ではなく、完成させた作品とその意図を説明できる力です。

まとめ:目的を決めて、まず1本に絞る

PhotoshopとIllustratorは「似たソフトの優劣」ではなく「目的の違う道具」です。Webサイトやバナーを作りたいなら、まずPhotoshop(画像加工系)を1本に絞って深め、ロゴや図版が必要になった段階でIllustratorを足す。これが、制作会社7年とフリーランス150案件超で使い分けてきた私の現実的なおすすめです。

現場ではバナー・写真はPhotoshop、ロゴ・作字・図版はIllustrator、画面全体のレイアウトはFigmaと、目的ごとに使い分けています。だからこそ、最初から両方を薄く触るより、自分が作りたいものに直結する1本から手応えを得るほうが、独学は続きやすく上達も速い。

そして、ツールの操作は独学で十分まかなえますが、「自分の作品が現場で通用するか」だけは自分では気づけません。一人で伸び悩んだと感じたら、早めに第三者の目を借りて足りない範囲だけ補う。これが、私が独立1年目の遠回りから学んだいちばん現実的な進め方です。まずは目的を1つ決めて、最初の1枚を完成させるところから始めてみてください。

あわせて、ツール選びの前後で全体の学習順序も押さえておくと、独学の遠回りをさらに減らせます。

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この記事を書いた人

Web制作会社を7年勤めて独立して4年、累計150案件を超えてきた Shimizu です。フリーランスになりたい人が増えるたびに「稼げますか」と聞かれますが、正直に言えば「1年目はかなりきつかった」です。

クラウドソーシングで月10万円を稼ぐのも最初は大変で、単価を上げるために何を変えたか、なぜ直営業に切り替えたのか、Figmaを覚えたことで何が変わったか――これらは「なんとなくフリーランスになれた人の話」ではなく、会社員時代に副業で準備し、独立後に単価を段階的に引き上げてきた4年分のリアルな試行錯誤の記録です。

デジハリなどのスクールが「卒業生の就職率○○%」と言っているのが本当かどうか、クラウドワークスとランサーズのどちらが案件を取りやすいか、LP制作の単価相場はどこで下げ止まるか。自分が迷ってきたことと、後輩から受けてきた相談を整理してお伝えします。**個別の契約・料金交渉・確定申告の判断については、弁護士・税理士など専門家にご相談ください**。

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