Web制作の見積もりの作り方|単価を上げるために変えた見積もり項目と交渉の線引き

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この記事の要点

制作会社で7年、フリーランスになって4年で150案件超を受けてきました。独立1年目は同じLP制作でも8万円で受けていたものが、4年目には同じ作業量でも18万円前後で通るようになり、月商も30万円台から70万円前後まで変わりました。変えたのは「時給を上げます」と宣言したことではなく、見積もりの項目を分解して、それまで無料サービスにしていた工数を1行ずつ可視化したことです。

この記事では、見積もりの基本的な作り方(人日単価の出し方・必須5項目)に加えて、独立当初に単価が低くて後悔した私が実際に見積もり項目をどう組み替えて単価を上げたか、そして値下げ交渉や追加対応をどこで線引きするかまで、2024年に施行されたフリーランス保護の新法も交えて整理します。テンプレートを配って終わりにはせず、「同じ作業量で金額が変わる理由」に踏み込みます。

Web制作の見積もりは何で決まるのか?

見積もりの金額は、ざっくり言えば「作業にかかる時間 × あなたの単価 + 経費」で決まります。ただ、フリーランスになりたての頃の私は、この「時間」を大幅に少なく見積もっていました。デザインの修正対応やクライアントとのメッセージのやり取り、納品後の軽微な調整を「サービス」として時間に含めていなかったのです。

制作会社時代は、進行管理やディレクションの工数が別途計上されているのを当たり前に見ていました。ところが独立した途端、その「見えていた工数」を自分の見積もりから落としてしまった。これが独立1年目に単価が低かった最大の原因でした。見積もりは、まず自分が実際に使う時間を正直に洗い出すことから始まります。

Web制作の単価相場として、フリーランスの人日単価はおおむね3〜4万円(人月60〜80万円)、一般的な制作会社で人日単価5万円前後(人月100万円)というのが業界でよく言われる水準です。発注側の費用相場としても、フリーランスへのホームページ制作依頼は10万〜50万円程度がボリュームゾーンとされています。この幅の中で「自分はどこに立つのか」を決めるのが、見積もりの出発点になります。

なお、フリーランスと発注事業者の取引については、2024年11月に「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法、いわゆるフリーランス新法)」が施行され、発注事業者には取引条件を書面等で明示する義務が定められました。見積もりや発注の条件をあいまいにしたまま進めることは、発注側にとってもリスクになっています。詳しくは公正取引委員会のフリーランスとして業務を行う方・フリーランスに業務を委託する事業者の方向け特設ページで確認できます。

人日単価とページ単価、どちらで見積もるべき?

見積もりの作り方には大きく「ページ単価方式」と「人日単価方式」の2つがあります。私は独立当初ページ単価で出していて、後で人日単価に切り替えました。その理由を正直に書きます。

ページ単価は「トップページ5万円、下層ページ1ページ1.5万円」のように、ページ数で金額を出す方式です。クライアントにとって分かりやすく見積書もすぐ作れますが、ページ内の作りこみ量が金額に反映されないという弱点があります。同じ「1ページ」でも、アニメーションや問い合わせフォーム、複雑なレイアウトが入れば工数は何倍にもなる。ページ単価だと、そこが値段に乗ってこないのです。

人日単価は「1日あたりいくら」を決めて、案件全体に何日かかるかで金額を出す方式です。たとえば人日3万円で、企画1日・デザイン3日・コーディング3日・調整1日=8人日なら24万円、という出し方になります。作りこみが増えれば日数が増えるので、作業量と金額が連動するのが利点です。私が単価を上げられた一番の転機は、ページ単価から人日単価に切り替えて「自分が何日働いているか」を金額に反映させたことでした。

方式メリットデメリット向いているケース
ページ単価クライアントに分かりやすい・見積もりが速い作りこみ量が反映されない・安く買い叩かれやすいページ数が明確で仕様がシンプルな案件
人日単価作業量と金額が連動・追加作業の根拠を示しやすい工数見積もりの精度が必要・初心者は時間配分を読みにくいLP・コーポレートサイトなど作りこみがある案件

実務では、クライアントへの提示はページ単価のように見せつつ、内部の計算は人日単価で組むというハイブリッドにしています。見せ方は相手に合わせ、根拠は工数で持っておく。これが、値下げを求められたときに「では作業を減らしましょう」と冷静に返すための土台になります。

見積書に入れておきたい項目は何か?

私が今使っている見積書は、独立当初の「デザイン費」「コーディング費」だけのシンプルな2行構成から、5つの大項目に分解した形に変わりました。項目を分けることそのものが単価アップにつながったというのが、この記事で一番伝えたいことです。

業界の標準的な見積もり項目は、おおむね次の5つに整理できます。

  1. 企画・設計費:ヒアリング、サイト構成(サイトマップ)、ワイヤーフレーム作成。発注側でも「企画・プランニング費は10万円程度から」とされる工程で、ここを無料にしてはいけません。
  2. デザイン費:トップ・下層のデザインカンプ作成。デザイナーの工数で最も比率が高くなりやすい部分です。
  3. コーディング・実装費:HTML/CSS/JS、レスポンシブ対応、アニメーションやフォーム実装。トップ3〜10万円、下層1〜3万円が一つの目安とされます。
  4. CMS・環境構築費:WordPress構築、サーバー・ドメイン設定、テスト。
  5. 進行管理・その他:ディレクション、修正対応の回数設定、納品後サポート。進行管理費は制作費全体の10%程度が目安とされます。

私が独立当初にやっていなかったのは、1番(企画・設計費)と5番(進行管理)を金額化することでした。実際にはヒアリングに半日、構成案づくりに半日、クライアントとのやり取りに何時間も使っているのに、それを「デザイン費」の中に溶かして見えなくしていた。項目を立てて初めて、自分の労働が金額として相手に伝わるようになります。

修正回数とスコープを見積書に明記する

もう一つ、単価を守るうえで効いたのが「修正は2回まで、3回目以降は1回あたり○円」と見積書に書くことです。独立当初はここを書かず、何度でも修正に応じていた結果、時給換算で最低賃金を下回る案件すらありました。

ちなみに、東京都の最低賃金は2025年10月から時給1,226円とされています(厚生労働省の地域別最低賃金の全国一覧で確認できます)。修正対応で時間を取られ続けると、フリーランスの実質時給がこの水準を割ることは珍しくありません。見積書に修正範囲を明記するのは、値上げ交渉ではなく自分の時間を守るための防御線です。

単価を上げるために、私が実際に変えた見積もり項目

ここからが、競合記事ではあまり踏み込まれていない一次データの部分です。独立1年目(月商30万円台)と4年目(月商70万円前後)で、同じ「LP1本制作」の見積もりがどう変わったかを並べます。金額は実際の案件をならした概算です。

項目独立1年目の見積もり4年目の見積もり変えたこと
ヒアリング・設計0円(サービス)30,000円工数を可視化して計上
デザイン40,000円60,000円人日単価ベースに変更
コーディング40,000円50,000円レスポンシブ・フォームを別明記
修正対応0円(無制限)2回まで込み・以降1回1万円範囲を明記
進行管理0円30,000円ディレクション工数を計上
合計80,000円180,000円

作業内容そのものはほとんど変わっていません。変わったのは「見えていなかった工数を1行ずつ立てたこと」だけです。時給を倍にすると宣言したわけではなく、もともとやっていた労働を金額に翻訳しただけ。これが、私がこのサイトで一番伝えたい「単価アップの実像」です。

もちろん、いきなり全項目をフルで提示して通るわけではありません。私は新規のクライアントには、まず企画・設計費だけを明示することから始めました。「ヒアリングと構成設計に半日いただくので、ここは3万円で計上しています」と一言添える。それで離れていくクライアントは、もともと工数を無償で求めるタイプなので、結果的に付き合うべき相手が絞られていきました。

値下げ交渉されたとき、どこで線を引くか?

見積もりを出すと、一定の割合で「予算が○万円なので下げられませんか」と言われます。独立当初の私は、ここで言い値どおりに金額だけ下げてしまっていました。これは一番やってはいけない対応だと、今は思います。

金額だけを下げると、作業量はそのままで時給だけが下がるからです。私が今しているのは、「金額を下げるなら作業を減らす」という対応です。具体的には次のように返します。

  • 「ご予算に合わせるなら、下層ページのデザインをテンプレート流用にして、その分の3万円を引く形はいかがでしょう」
  • 「修正回数を1回までにする前提であれば、進行管理費を調整できます」
  • 「今回は基本構成のみで納品し、アニメーションは次フェーズで別途お見積もりにします」

ポイントは、値引き=作業削減のセットで返すことを徹底する点です。これは単なる交渉術ではなく、前述のフリーランス新法でも、報酬の不当な減額や著しく低い報酬での発注は問題行為として挙げられています。安く請けることが当たり前になると、フリーランス全体の単価相場が崩れていく。だからこそ「下げるなら減らす」を崩さないようにしています。

それでも予算が合わないクライアントもいます。そのときは無理に受けず、案件獲得の母数を増やすほうに動きます。受ける案件を選べるだけの依頼の流れを作っておくことが、結局は単価を守る一番の方法でした。案件をどう増やすかは、別記事のクラウドワークスとランサーズの違いを比較した記事でも触れています。

見積もりを出す前に確認しておく公的なルール

フリーランスとして見積もりを出す際、知っておくと交渉で守りになる公的な情報があります。専門家ではないので断定はしませんが、観察してきた範囲で要点を整理します。

まず、前述のフリーランス新法(2024年11月施行)です。発注事業者には、業務内容・報酬額・支払期日などを書面または電磁的方法で明示する義務があり、報酬は原則として納品から60日以内に支払う必要があるとされています。見積もり段階でこれらの条件をはっきりさせておくことは、後の未払いトラブルを防ぐうえで重要です。中小企業庁の下請取引適正化に関する情報も、取引条件を考えるうえで参考になります。

次に、インボイス制度です。2023年10月から始まった制度で、課税事業者として登録するかどうかで、消費税分の扱いが変わります。見積書に消費税をどう記載するかは、自分が適格請求書発行事業者かどうかで変わってくるので、国税庁のインボイス制度特設サイトで自分の状況を確認しておくと安心です。税務の具体的な判断は税理士に相談するのが確実です。

こうしたルールは、見積もりを「ただの金額表」から「取引の条件を定める書面」へと位置づけ直してくれます。条件を明示することは、クライアントを疑うことではなく、お互いが安心して仕事を進めるための土台です。私自身、書面で条件を固めるようになってから、入金まわりのストレスがかなり減りました。

見積もりの作り方ステップ(実務フロー)

最後に、私が実際にやっている見積もり作成の手順を、再現できる形で整理します。

  1. 自分の人日単価を決める:目標月商と稼働日数から逆算して人日単価を設定します。フリーランスの人日単価は3〜4万円が一つの目安です。
  2. 作業工程を洗い出す:企画・設計、デザイン、コーディング、CMS構築、進行管理の5項目に分解し、それぞれの工数を見積もります。
  3. 見えない工数を項目化する:ヒアリングや進行管理など、サービスにしがちな工程を1行ずつ立てて金額化します。
  4. 修正範囲を明記する:修正は2回まで、3回目以降は1回いくらと見積書に書き、スコープを固定します。
  5. 取引条件を書面化する:報酬額・支払期日・納期をフリーランス新法に沿って書面で明示し、合意を得ます。

このステップで作った見積書を、新規クライアントには「項目を分けて、何にいくらかかるかが分かる形にしています」と一言添えて渡します。透明性そのものが信頼につながり、結果として値切られにくくなる。これが、4年かけて私がたどり着いた見積もりの作り方です。

単価をどう上げていくかは、月収の現実とも直結します。独立後の収入の変化についてはWebデザイナーフリーランスの月収の目安をまとめた記事で、1年目・3年目・5年目の推移を整理しているので、あわせて読んでみてください。

よくある質問(FAQ)

Q1. フリーランス初心者は人日単価をいくらに設定すればいいですか?

未経験に近い段階では、まず時給1,000〜1,500円程度から始めて実績を作る人が多いです。人日単価でいえば1〜1.5万円程度からのスタートになります。ただし、これはあくまで仕事を取りやすくするための初期設定で、数件こなして時間配分の感覚がつかめたら、人日3万円前後を目標に項目を分解していくのがおすすめです。私自身も最初は安く受けていましたが、見積もり項目を立て直すことで段階的に上げていきました。

Q2. ページ単価と人日単価、結局どちらがいいですか?

仕様がシンプルでページ数が明確な案件はページ単価でも問題ありませんが、LPやコーポレートサイトのように作りこみがある案件は人日単価のほうが向いています。私のおすすめは、クライアントへの見せ方はページ単価のように分かりやすくしつつ、内部の計算は人日単価で組むハイブリッドです。そうすると、追加作業を求められたときに「○人日増えるので○円です」と根拠を持って返せます。

Q3. 見積もりを出したら高いと言われました。どうすればいいですか?

金額だけを下げるのは避けたほうがよいです。作業量がそのままで時給だけ下がってしまうからです。「ご予算に合わせるなら、この工程をテンプレート流用にして○円引きます」のように、値引きと作業削減をセットで提案するのがおすすめです。それで折り合わない場合は、無理に受けず次の案件に向かう。受ける案件を選べる状態を作ることが、結果的に単価を守ります。

Q4. 修正対応はどこまで無料にすべきですか?

無制限の無料修正は避けたほうがよいです。私は「修正2回まで込み、3回目以降は1回1万円」と見積書に明記しています。範囲を決めておかないと、納品後も延々と対応が続き、実質時給が最低賃金を下回ることもあります。最初に線を引いておくことは、クライアントとの信頼を壊すどころか、お互いの認識をそろえることにつながります。

Q5. フリーランス新法で見積もりは何が変わりましたか?

2024年11月施行のフリーランス新法により、発注事業者には業務内容・報酬額・支払期日などを書面等で明示する義務が定められました。これにより、見積もりや発注の条件をあいまいにしたまま進めることが発注側のリスクにもなっています。フリーランス側としては、見積もり段階で条件を文書化しておくことが、未払いや一方的な減額への防御になります。詳細は公正取引委員会や中小企業庁の公開情報を確認してください。

まとめ

  • Web制作の見積もりは「作業時間 × 単価 + 経費」で決まり、まず自分が使う時間を正直に洗い出すことから始まる
  • ページ単価より人日単価のほうが作業量と金額が連動しやすく、追加作業の根拠を示しやすい
  • 単価アップの実像は「時給を上げる宣言」ではなく、企画・進行管理など見えていなかった工数を1行ずつ項目化すること(私の場合、同じLP制作で8万円→18万円に変化)
  • 値下げ交渉には「金額を下げるなら作業を減らす」をセットで返し、無制限の無料修正は最初に線を引く
  • 2024年施行のフリーランス新法を踏まえ、見積もり段階で取引条件を書面化しておくとトラブルを防ぎやすい

見積書は、ただの金額表ではなく「自分の労働をクライアントに翻訳する書面」です。項目を分けて透明にするほど、単価は守りやすくなります。独立当初に安く受けて後悔した私だからこそ、まずは見えない工数を1行立てるところから始めてみてほしいと思います。

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この記事を書いた人

Web制作会社を7年勤めて独立して4年、累計150案件を超えてきた Shimizu です。フリーランスになりたい人が増えるたびに「稼げますか」と聞かれますが、正直に言えば「1年目はかなりきつかった」です。

クラウドソーシングで月10万円を稼ぐのも最初は大変で、単価を上げるために何を変えたか、なぜ直営業に切り替えたのか、Figmaを覚えたことで何が変わったか――これらは「なんとなくフリーランスになれた人の話」ではなく、会社員時代に副業で準備し、独立後に単価を段階的に引き上げてきた4年分のリアルな試行錯誤の記録です。

デジハリなどのスクールが「卒業生の就職率○○%」と言っているのが本当かどうか、クラウドワークスとランサーズのどちらが案件を取りやすいか、LP制作の単価相場はどこで下げ止まるか。自分が迷ってきたことと、後輩から受けてきた相談を整理してお伝えします。**個別の契約・料金交渉・確定申告の判断については、弁護士・税理士など専門家にご相談ください**。

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